「あんハピ♪」アニメ5話を例に見る幼馴染百合
今期の深夜帯アニメも終わりが近づいています。
百合オタク視点から考えると、百合を中心に描いたアニメ以外でも女同士の強い結びつきが出てくるなど、多くのファンが満足できる百合が見られたと思います。
(深夜アニメで好みの百合がない方は女児アニメを見てください。今の女児アニメは女の子二人がウエディングドレスを着ます*1)
さて、全編通して百合だったアニメといえばあんハピ♪でしょう。
中でも、第5話は幼馴染の二人組、ヒビキとレンの出会いが描かれました。
私は幼馴染百合が大好きなので、ここでこのあんハピ♪第5話を例に幼馴染百合について考えていきたいと思います。
以下、ネタバレ注意。
幼い頃のエピソード
幼馴染なので、当然幼い頃のエピソードがあります。
子供ゆえの純粋さは、時にかわいらしく、時に大胆な行動として現れます。
あんハピ♪5話のクライマックスとなる幼稚園での回想もそうです。
幼稚園の門の隙間を通ろうとしたら髪が挟まり、取れなくなってしまったヒビキ。髪を切るのを嫌がるヒビキに対して、レンは自分の長い髪をばっさり切ってしまいました。
ヒビキが髪を切るのを恐れたのは、みんなが長い髪を褒め合っているのを見て、長い髪は美しさの証という考えになったという背景がありました。そんな中でひときわ綺麗な長い髪のレンが、その髪を切ることで身を持って髪が短くても変じゃないということを示したのです。
外見にこだわりのなさそうなレンとはいえ、ここまで大胆な行為は子供のときでないとできないでしょう。*2
昔と変わるもの、変わらないもの
人は時間が経つと変わります。肉体的にも精神的にも、人とのかかわり方もそうです。
特に子供は成長が速いため、変化する自分に、相手に、あるいは自分と相手の関係が目に見えて変化することに戸惑うこともあります。
変化する(あるいは時間が経っても変化しない)関係をどう捉えるかは、幼馴染百合の最もエモーショナルなポイントといえるでしょう。
初めて出会った時から、まぶしくキラキラ輝いていて、まっすぐ見つめてくるその瞳を、自分は見つめ返すことができなかった
それが、上の出来事などを経た今は異なります。
以下のポエムで締められます。*4
彼女の輝きは、あの頃よりも、ずっともっと増しているが、今は少しだけ、まっすぐ見つめ返せる
「輝きは増している」という表現は示唆に富んだものです。
自分がレンを昔よりさらに好きになったことにとどまらず、(体質として)周りの女性をさらに魅了するようになった、つまり自分と二人だけになるのを邪魔される要因が増えたとも捉えられます。
それでも、今は「まっすぐ見つめ返せる」から、大丈夫。そんなヒビキの、二人の今を肯定する思いに心動かされます。
深く入り込む相手の存在
一緒に過ごした時間の長さにより、幼馴染はお互いを深く知ることになります。
いや、それにとどまりません。人格が形成される時期を一緒に過ごすことで、性格の深い部分にまで影響を及ぼすことさえあります。
引っ込み思案で、人と違うことを恐れていたヒビキが、今は「一番」を目指すようになりました。これは上で紹介した髪を切るエピソードがあってのことでしょう。
また、ヒビキははなこ達に対して面倒見の良さを見せることがたまにあります。これも、面倒くさがりのレンと長年一緒にいた影響でしょう。
一方のレンは、感情をあまり表に出さないのでヒビキをどう思っているかはあまり定かではありません。しかし彼女もヒビキのことをよくわかっている様子が見られます。
ヒビキはヒバリの落としたパスケースの写真*5を見て、弱みを握れるのではないかと考えます。しかしそれがヒバリにとって大事なものなのではないかと考えたヒビキは、結局何も言わずに返します。
そんなヒビキを見たレンは優しく微笑みます。
ヒビキがレンを思う強さが強調されているこの作品ですが、レンの方もヒビキのことをよくわかっていることが現れています。
「あんハピ♪」原作は未読だったので、いつものきらら系の微百合コメディかと思って見ていましたが、この5話で一気に気持ちを持っていかれました。
幼馴染百合が好きな方は、(もうアニメも終わりそうですが動画サイトの配信とか、原作でも)あんハピ♪をぜひ!