「selector infected WIXOSS -Re/verse-」を今だから語る
ビッグガンガンの今月発売号から、みんな大好き咲-Saki-のスピンオフ第5弾、「怜-Toki-」が始まります(ました)。
漫画を担当するめきめき先生は、最近でも「オンリー☆ユー」の単行本が出たり百合界隈で活躍されています。
実はそんなめきめき先生が去年10月まで、当のビッグガンガンで連載していた漫画があるのです。
それが「selector infected WIXOSS -Re/verse-」、タイトルの通りselectorのスピンオフなのですが、百合作品としてかなり”強い”です。
2巻で終わってしまったのだけが惜しい!本当に5巻くらいまで続けば天下取れたんじゃないかと思うくらい。
個人的2015年ベスト百合漫画です。
-Re/verse-の(百合として)良いところは
「バトルものだけど、恋愛を描いている」
上に、
「恋愛の綺麗な部分だけでなく、ドロドロした感情も描かれる」*1
ところと、あともう一つ、これは本筋ではないのですが
「若葉・青葉という存在」
です。
以降、ネタバレを含みます
あらかじめ言っておくと、用語がわからない方はSelectorでググりましょう、ってかアニメを見ましょう。
序盤はこんな感じで話が進みます。
主人公のゆらぎは親友の真子が大好き!でも、真子は共通の幼馴染の少年、樹に熱い視線を向けていて…
そんなとき、ゆらぎは喋るルリグカードのアルフォウと出会い、セレクターバトルに巻き込まれる。なんでも、セレクターバトルに勝ち続けると願いが叶うとか。
ゆらぎはアルフォウに熱烈に愛を向けられて、真子もセレクターになっちゃってもう大変!
百合風味バトルものっぽいですね。
ゆらぎたちはバトルを勝ち抜いていって、その合間にイチャイチャするのかな?
それが違うんですね。
ゆらぎたちの影に見える凄惨な過去、死の匂い、トラウマ。*2
真子に対して過保護なゆらぎの不安定な精神。
アルフォウの隠している、夢限少女の秘密。*3
不穏な空気が作中通じて漂っています。
それが最高潮に達したのが6話から7話にかけて。
6話でゆらぎはアルフォウに真子への思いがただの強い友情ではないことを指摘されます(恋愛だと名言されるのです!)。
誰にも目の届かない場所で自分だけを見つめさせて…世界で一番大切で自分だけのものにしたい
しかし、「真子は樹が好きだから」と、真子の幸せと自分の気持ちの間で悩むゆらぎ。
7話でゆらぎは樹から告白を受けます。
ただ 真子の失恋を喜ぶ汚いキモチしかなかった
ゆらぎは真子を陥れ、樹を騙し、真子を自分のものにする決意を決めたのです…。
実は6話の「誰にも目の届かない場所で自分だけを見つめさせる」 という言葉が7話で引用されています。
ゆらぎの気持ちが唯一無二のものであることを示すセリフから、歪んだ独占欲の現れに変わるのは本当にエモーショナル。感情を揺さぶってきます。
それを言ったアルフォウも、そんな表裏一体の思いを持っていることがわかるのもまた良い演出。
このように、恋愛が生み出すダウナーな面を真正面から描いておきながら、物語は希望がある結末に向かっていきます。それはこの漫画に愛を肯定的に描く意志があるからじゃないかな、と思います。
彼女たちが強く思う相手に向ける感情は、依存、独占欲、欺瞞、そんなドロドロとしたものにまみれています。
しかし、そんな気持ちの裏返し、まさにRe/verseであるからこそ、彼女たちの愛は強く光り輝くのです。
若葉と青葉、魂の双子(ツインソウル)
…さて、ここまでで触れていない若葉と青葉の話。
若葉と青葉は最初にゆらぎの前に現れたセレクターとルリグです。小学6年生。
ゆらぎは気付かなかったものの、この二人は全く同じ顔をしていたのです。
そう、彼女たちは元々双子の姉妹だったのです。二人は「元々は一つの存在だった」からと、別々の人間であることを拒否します。
ひとつになりたいという願いのもと、セレクターバトルを利用して同じ体を二人で入れ替わりながら使い続けています。蒼井晶よりすごい。
ちなみに二人裸で抱き合っている絵があります。
さらに言うと、それは描写からするに小学校に入る前の話です。*4
…ここまですごい双子百合は今まで、いやこれからもそう現れないでしょう。